医療栄養学科教員の研究成果が、International Association for Food Protection社の学術雑誌Journal of Food Protectionに掲載されました

2021年02月04日

ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品を食べることにより発症するアレルギー様の食中毒です。ヒスタミンは、サバ、マグロ、イワシなどの赤身魚およびその加工食品に含まれるヒスチジンにヒスタミン産生菌の酵素が作用してヒスタミンに変換されることにより生成されます。しかし、食品中のヒスタミンを簡易的かつ迅速に検出できる方法はこれまで確立されていませんでした。

一方、近年、食品廃棄物やフードロスが大きな社会問題となっており、これらの対策が急務となっています。実例として、茶飲料を製造したときに大量に出る使用済みの茶葉の一部は入浴剤や脱臭剤などに利用されていますが、多くは廃棄処分されています。しかし、使用済み茶葉には、まだ茶の有効成分が多く残っていることが知られていました。

医療栄養学科の棚橋伸行准教授たちは、(1)低濃度のpH指示薬を用いて、ヒスタミン産生菌を利用した低コストで迅速なヒスタミン検出法を確立しました。そして、この検出法を用いて、使用済み茶葉がヒスタミン産生菌を抑制できるか否かを解析した結果、(2)緑茶、ウーロン茶および紅茶の使用済み茶葉含有成分に、ヒスタミン産生菌の発育を抑制する効果があることを認め、特に発酵茶である紅茶に顕著な効果があることを明らかにしました。

本研究成果は、今後、ヒスタミンが産生される食品の保管や加工などに応用され、ヒスタミン食中毒の発生軽減につながることが期待されます。

研究者:保健衛生学部 医療栄養学科 准教授 棚橋伸行
掲載論文:
Tanahashi N, Azama M, Otsuka M, Ogino F, Maeda R, Hirota T. Search for Substances That Inhibit Histamine Production Using Used Tea Leaves. J Food Prot. (2020) 83(10):1789-1795. doi: 10.4315/JFP-19-564.

-副学長(大学院・研究担当)鈴木宏治-