4年間の流れ
1年:徹底した基礎医学の修得
鈴鹿医療科学大学鍼灸サイエンス学科へようこそ。多くの新入生の方には、はり・きゅうはまだまだ未知の世界です。入学当初は先輩達が海岸でバーベキュー大会を開いてくれたり、先生方も研究室で鍼灸の世界のことを色々教えたりして皆さんの不安や疑問に応えてくれます。
講義について。本学科では将来皆さんが、病院で医師や他の医療スタッフ(看護師・栄養士・理学療法士など)と共同して患者さんによりよい治療を提供できるように、との願いから、解剖学や生理学といった基礎医学分野の教育に力を入れています。
また取穴実習や鍼灸技術学では、身体にある「ツボ」を正確に取り、身体に心地よい鍼や灸ができるようになるまで、教員が徹底して指導します。最初は初めてはりを持つ手がぎこちなかった学生さんが、一年後には立派な「鍼さばき」を見せてくれるまでに成長していきます。
この段階での学びが、将来皆さんが臨床家として患者さんの身体を診るときに最も重要な基礎になります。
2年:現代医学、東洋医学の基礎知識を固める
1年生で学んだ基礎医学の知識をさらに広げ、理解を深めていくと同時に、二千年の歴史を持つ東洋医学の理論、実践について本格的な学習を始めます。1年生の頃と違い、基礎医学に関しては実習の時間が新たに設けられ、また課題を与えられての学習も増えるので大変ですが、学生さん達は遅い時間までお互いの身体を使ってツボを取り合う練習をしたり、骨や筋肉の位置を確かめるなどして頑張っています。
3年:多分野にわたる「臨床鍼灸学」!
鍼灸は、肩こりや腰痛といった運動器の障害やスポーツ障害ばかりでなく、花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患や婦人科疾患など、幅広い疾患の治療、ケアに応用することができます。本学科では、鍼灸の臨床分野を12の分野(健康・美容鍼灸学・内科系鍼灸治療学・スポーツ鍼灸学・女性・小児鍼灸学・外科系鍼灸治療学など)にわけ、それぞれの分野に精通した専門教員が、最新の知見に基づいてきめ細かい指導を行います。西洋医学の各分野についても三重大学附属病院で患者さんの治療に当たっている最先端の医師から講義を受けることができます。また、西洋医学、東洋医学の専門家を招いての講義も特徴となっています。こうした講義を通じ、東洋医学、現代医学の双方の病気観、治療に対する考え方を学んでいくのです。
また学園祭の学科発表などでは1、2年生をリードし、中心的な役割を果たします。
4年:4年間の総仕上げ!
実習、卒論研究を通じて臨床家としての自覚を高める。
国家試験への準備が本格的に始まると同時に、実習を通じ臨床家として必要な実践的な知識を身につけていきます。総合治療学では、具体的な問診や検査法、刺鍼技術など、鍼灸師として必要な技術を身につけていきます。さらに卒論研究では、各教員が学生さんとの面談を通じて研究テーマを決定し、研究方法や論文作成、学会発表の方法などを学び、臨床家としてだけではなく、研究者としても社会に貢献できる能力を養います。
カリキュラム
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち | 解剖生理学基礎/解剖生理学Ⅰ-Ⅵ |
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疾病の成り立ちと予防及び回復の促進 | 病理学/衛生学・公衆衛生学Ⅰ-Ⅱ/内科学Ⅰ-Ⅳ/臨床感染・免疫学/整形外科学概論/整形外科学各論/リハビリテーション医学 |
保健医療福祉とはり及びきゅうの理念 | 鍼灸への誘い/医事法学 |
基礎はり学・基礎きゅう学 | 東洋医学基礎理論Ⅰ-Ⅱ/鍼灸基礎理論Ⅰ-Ⅱ |
臨床はり学・臨床きゅう学 | スポーツ鍼灸学/健康・美容鍼灸学/外科系鍼灸治療学Ⅰ-Ⅲ/内科系鍼灸治療学Ⅰ-Ⅲ/鍼灸症候鑑別診断学 |
社会はり学・きゅう学 | 社会鍼灸学 |
実習 | 鍼灸技術学入門/鍼灸基礎技術学Ⅰ-Ⅱ/鍼灸臨床技術学Ⅰ-Ⅱ/東洋医学診察診断法/臨床生理学実習/取穴実習Ⅰ-Ⅱ/臨床実習Ⅰ-Ⅲ |
総合領域 | 医療福祉概論/生化学/基礎栄養学/臨床栄養学/食品学/薬膳学/生薬学/薬理学/物理療法学/医学英語/触察法/鍼灸古典文献学/総合鍼灸学Ⅰ-Ⅳ/鍼灸総合研究Ⅰ-Ⅲ |
シラバス
カリキュラムマップ
科目紹介
- 健康・美容鍼灸学
- いつまでも健康的で若々しくありたいというのは、古今東西を問わず人類の普遍的な願いです。鍼灸医学では「こころ」と「からだ」のバランス状態がそのまま体の表面にも現れると考えており、体表面を刺激することで心身全体のバランスを整え、シミやソバカスといった皮膚表面の問題や肥満や湿疹、円形脱毛症など美容に関連する様々な症状に対応しています。本科目では、「健美(健康にもとづく美)」という考え方に沿いながら、「人を美しくする」の鍼の技術と、その科学的な裏付けについて深く学んでいきます。
- スポーツ鍼灸学
- サッカーや野球、バスケットボールなど、現代は年齢を問わず多くの人がスポ-ツを楽しんでいます。しかしその一方でハードなトレーニングが原因となって故障したり、身体全体の調子を悪くする人があとを絶ちません。スポーツ鍼灸学ではスポーツに由来する様々な運動器の症状(テニス肘、ジャンパー膝、腰痛など)と治療法について実践的な知識を身につけるとともに、「どのような治療をしたら最大限のパフォーマンスを引き出せるのか」という観点から、そのアスリートのメンタル面を含む全身状態にアプローチする方法を主体的に学んでいきます。
- 東洋医学基礎理論
- 東洋医学(中医も含む東洋の医学)が現代医学と最も大きく異なるのは、治療に訪れる患者さんの全身状態(メンタル面も含めて)に常に配慮していることです。治療方法も患者さんの訴えをよく聞き、局所の症状だけでなく、その患者さんの体質や生まれ育ってきた環境などを総合的に判断して決めていきます。本科目では、こうした東洋医学の基本的な身体の見方、病気に対する考え方を基礎から学び、患者さんの苦痛を取り除くための基本的な知識を習得していきます。