学長挨拶

本学は、平成3年(1991年)に日本で最初に創立された4年制の医療系大学であり、この分野では最も伝統と実績のある大学です。最初は2学部4学科から始まった大学が、現在では4学部11学科15専攻分野となり、名実ともに医療系の総合大学に発展しました。今、日本は人口減少社会に突入しましたが、高齢者人口はまだまだ増加する見込みです。そのために医療専門職の需要は今後も伸び続けると考えられ、医療・福祉系の人材の育成とライフイノベーションの推進が社会から強く求められています。本学は、そのような、社会の要請にこたえるために、「科学技術の進歩を真に人類の福祉と健康の向上に役立たせる」を建学の精神とし、「知性と人間性を兼ね備えた医療・福祉スペシャリストの育成」を教育理念に掲げ、どこに出しても恥ずかしくない、地域社会の皆さんから真に信頼される医療・福祉専門職を育成してきました。

具体的な教育目標としては
高度な知識と技能を修得する
幅広い教養を身につける
思いやりの心を育む
高い倫理感を持つ
チーム医療に貢献する

の5つを掲げています。

社会に求められる「医療・福祉スペシャリスト」になるためには、まず、その専門分野については誰にも負けない知識と技能を身につけることが必要です。しかし、それだけでは不十分です。幅広い教養を身につけるとともに、患者さんの立場に立った思いやりの心を育み、専門職としての確固たる倫理観のもとに行動することが求められます。また、医学・医療の高度化に伴い、一人の専門職だけで最適の医療・福祉サービスを提供することには限界のあることが明らかとなり、さまざまな専門職がチームを組んで連携して患者さんにとって最善のケアを提供する「チーム医療」に貢献することが求められています。これらの建学の精神、教育の理念、教育目標を実現するために、本学は不断の改善・改革に取り組んでいます。

平成26年(2014年)から始まった「医療人底力教育」は、1年生全員を白子キャンパスに集め、各学科混成のクラスを作って、どの医療・福祉専門職にも共通に必要な知識・技能・態度を学ぶカリキュラムです。 その中でも「医療人底力実践」というカリキュラムは、少人数のグループで行うアクティブ・ラーニングであり、介護、救急救命、コミュニケーション、接遇・敬語・マナー、薬物・タバコ、メンタルヘルス、チーム活動、ディベート、ボランティアなど、医療・福祉専門職に共通に必要なスキルを学生が中心となって主体的に身につけます。

また、近年の医療・福祉分野のめざましい進歩に対応できる教育を提供できるよう、さまざまな取り組みを行っています。
たとえば、ロボットスーツ「HAL」の開発で世界的に注目されているサイバーダイン社の関連施設を当大学キャンパス内に誘致し、最先端のリハビリテーション教育を提供しています。
また、本学の教員が中心になって「日本薬膳学会」を創設し、伝統的な食を科学的に研究して、東洋と西洋の良いところを合わせた新しい形の「薬膳」を提案し、教育を行っています。
平成27年(2015年)に本学キャンパスに隣接して建設された特別養護老人ホーム「桜の森白子ホーム」では、各学科の学生に対して現場に即した実習が行われています。
また、遺伝子検査学や再生医療技術学に関連する科目も授業も組み入れています。そのため、遺伝子医療や再生医療を支える医療技術者としての礎となる知識や技能を身に付けることができます。
さらに、新たな国家資格として文部科学省と厚生労働省との共同所管である「公認心理師法」が平成27年(2015年9月)に公布されました。本学では公認心理師養成に対応できるカリキュラム改定を行い、附属こころの相談センターおよび附属こころのクリニック(精神科・心療内科)を平成29年4月に開設しました。心理専門職と精神科医が共同してカウンセリングと治療にあたる、画期的なシステムです。

最近では慢性疼痛をテーマに三重大学医学部と一緒に多職種連携による実践的なチーム医療の教育に取り組んでいます。令和3年に開設した附属桜の森病院では、最善の緩和ケアの診療を提供するとともに、多職種連携チーム医療の教育の場としても期待がもたれます。このような先進的なカリキュラムと同時に、学生のさまざまな悩みに、きめ細かく対応するための学生相談室や、基礎学力に不安を持っている学生を支援するプログラムなどを充実し、入学した学生が安心して大学生活を送れるように、教職員一丸となってサポートしていきます。

これから健康・医療・福祉の分野で活躍しようとしておられる皆さん、この素晴らしい学習環境の鈴鹿医療科学大学で、ぜひともいっしょに学んでみませんか。また、本学は地域との連携にも力を入れており、市民公開講座も多数開講しています。一人でも多くの地域の皆さんに鈴鹿医療科学大学にお気軽に足を運んでいただきたいと思っています。