中鎖脂肪酸の脳内炎症抑制効果に関する研究成果について

2018年03月30日

<日本薬学会第138年会にて発表>
中鎖脂肪酸の脳内炎症抑制効果に関する研究成果
~高齢者PEMに対する認知症の発症リスクの軽減および進行抑制に
中鎖脂肪酸が有益である可能性~

学校法人鈴鹿医療科学大学(理事長:髙木純一)、日清オイリオグループ株式会社(社長:久野貴久)は、2018年3月25日~3月28日に金沢市で開催された「日本薬学会第138年会」において、中鎖脂肪酸の脳内炎症抑制効果についての研究成果を発表いたしました。

【本研究の背景】
学校法人鈴鹿医療科学大学と日清オイリオグループ株式会社は、2016年2月に鈴鹿市との3者により締結された、「健康寿命延伸に向けた産学官連携協力に関する協定」に基づき、食生活(中鎖脂肪酸)による健康寿命延伸の可能性の追求や鈴鹿市の地場食材を活用した地域活性化などに取り組んでおります。
これまで、鈴鹿市民500名超にご協力いただいた大規模研究や、健康レシピコンテスト、健康料理教室の開催などの健康長寿のための食生活の普及啓発活動を実施してまいりました。
本研究は、当協定の一環として、高齢者の健康維持にかかわる中鎖脂肪酸の健康機能に関する基礎的なメカニズムの解明を目指し実施したものです。

<研究成果の概要>
研究テーマ『PEMマウスモデルにおける中鎖脂肪酸の脳内炎症抑制効果』

低栄養(PEM)状態にあるマウスに、中鎖脂肪酸(MCT)もしくは長鎖脂肪酸(LCT)を摂取させた場合、 MCTの摂取は、LCTの摂取に比べ低栄養下の炎症を有意に抑制すると考えられ、低栄養状態にある高齢者におけるMCTの摂取は認知症の発症リスクの軽減および進行抑制に有益である可能性が示されました。

[日本薬学会第138年会 発表概要]
主催   :公益社団法人日本薬学会
会期   :2018年3月25日(日)~28日(水)
会場   :石川県立音楽堂ほか
演題   :PEM マウスモデルにおける中鎖脂肪酸の脳内炎症抑制効果
(ポスター番号26PAーpm211)
発表者  :鈴鹿医療科学大学 那須隆斗
共同発表者:鈴鹿医療科学大学 郡山恵樹、鈴木宏治、平本恵一、森田明広、杣谷晃佑、
木村五月
日清オイリオグループ 小島圭一、野坂直久

●研究目的
加齢や疾病による活動・食事量低下は、低栄養(PEM:ProteinーEnergy Malnutrition)を誘発します。また、PEMは高齢者の免疫力低下、フレイル(虚弱)や疾病発症の原因となります。とくに脳内ミクログリア(※1)活性化に伴う炎症は、アルツハイマー型認知症の原因の1つとされ、PEMは脳内炎症を悪化させると考えられています(図1)。これまで私たちは、MCTがPEM状態を改善させることを報告してきました。そこで本研究では、PEMマウスモデルにリポポリサッカライド(LPS)(※2)を投与して誘発した脳内炎症モデルを用いて、MCTの脳内炎症抑制効果について検討を行いました。

※1.ミクログリア:中枢神経系に常在し免疫を担う細胞
※2.リポポリサッカライド:一部の細菌の外膜に含まれる脂質及び多糖から構成される成分で、生物の体内に入ると炎症を引き起こすことが知られる

●方法
①通常食、②LCTを配合したPEM食、③MCTを配合したPEM食のいずれかを2週間摂取させたマウスに、LPSを投与し炎症を惹起しました。炎症の程度を比較するためにミクログリア活性化の指標(Ibaー1)による染色と各種サイトカイン(ILー1β、TNFーα、iNOS)(※3)の定量を行いました。

※3.サイトカイン:免疫系細胞から分泌されるタンパク質で、多くの種類があり免疫、
炎症に関係するものが多い

●結果・考察
PEM食を摂取したPEM状態のマウス(②、③)は、通常状態のマウス(①)と比べLPS刺激によるサイトカインの産生量が高値でした。さらにPEM状態のマウスでは、MCT摂取マウス(③)はLCT摂取マウス(②)に比べ活性化ミクログリア数が少なくなりました(図2)。また、MCT摂取マウスはLCT摂取マウスと比べ、ILー1β、TNFーα、iNOSのすべてが有意に低値でした。これらの結果から、MCT 摂取は、LCT摂取に比べPEM下の炎症惹起によるミクログリアの活性化と炎症性サイトカインの産生亢進を有意に抑制すると考えられ、高齢者PEMにおけるMCTの摂取は認知症の発症リスクの軽減および進行抑制に有益である可能性が示されました。

■日本薬学会について(学会HPより引用)
日本薬学会は、「くすり」に関係する研究者や技術者が、学術上の情報交換を行い、学術文化の発展を目的とする学術団体です。
新しい医薬品の開発・製造、安全性の確認、臨床への供給など薬を使ってさまざまな病気を克服するという目的のもと、2万人に及ぶ会員の情報源として機能しています。
日本薬学会は、さらに新しい未来を創造しながら、生命現象の解明と医薬品の適正使用をめざして、会員とともに人類の健康と福祉のため、着実な発展を続けています。

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