取得できる資格

臨床工学技士とは

臨床工学技士とは、昭和62年5月に第108通常国会で成立した”臨床工学技士法”という国の法律に基づいた、医療業務上の資格の名称です。法律によると「臨床工学技士とは厚生大臣の免許を受け、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示の元に”生命維持管理装置”の操作(生命維持管理装置の先端部の身体への接続、または身体からの除去であって政令で定めるものを含む)及び保守点検を行うことを業務とする者」と定義されています。この法律で”生命維持管理装置”とは、人の呼吸、循環、代謝の機能を代替、もしくは補助したりする装置です。臨床工学技士の英語名はClinical Engineer (CE)となりますが、英語でClinical Engineerといった場合は病院に専属の機器のメンテナンス要員といった仕事が中心で、日本の臨床工学技士の行う体外循環業務は、dialysis technologist, perfusionistなどそれぞれの機器ごとに操作のスペシャリストが決まっているので、少し意味合いが異なります。

日本では現在までに、20回の国家試験が行われ、約20,000人の臨床工学技士が誕生していますが、すべての医療機関に配属されていないのが現状です。

臨床工学技士の業務

業務を大きく分けると、
1. 血液浄化業務
血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血液吸着、プラズマフェレーシス等に使用する装置
2. 人工心肺業務
人工心肺装置、冠潅流装置、拍動流生成装置、血液冷却装置、関連監視装置等
3. 呼吸療法業務
人工呼吸器、吸入療法機器、給湿器、酸素濃縮器、酸素濃度計、関連監視機器等
4. 高気圧治療業務
高気圧酸素治療装置、高気圧酸素治療装置内で使用する機器、関連監視機器等
5. ICU業務
人工呼吸器、酸素療法機器、補助循環装置、除細動器、関連監視機器等
6. 手術室業務
人工呼吸器、人工心肺装置、補助循環装置、除細動器、関連監視機器等
7. その他の関連機器(ペースメーカ、IABP、除細動器)
ペースメーカ(体外式)、IABP、除細動器
8. 保守点検業務
業務に関連した機器の保守点検に必要な機器
9. 設備の安全管理業務(医療ガス設備、電気設備)
に分けられます。

ICU、CCUあるいは透析や開心術の際、心臓や脳の機能を監視する目的で用いられる生命維持管理装置のモニタ部分の設置を操作することが許されていますが、診察室、生理学検査室などで行う診断目的の心電図や脳波の測定は行いません。体外式ペースメーカーの調律リズムの調整、DCカウンタの条件のセッティング・操作は医師の具体的指示のもとで行えますが、接続できる電極は導出電極に限られるので、身体に接触する刺激部分の先端を接続することは医師が直接行うことになります。

業務内容を整理すると、臨床技術提供、医療機器管理、ME教育に分けられます。臨床技術提供とは、医療機器を使用する際に、臨床工学技士の技術を必要とする業務で、人工心肺装置、除細動器、ペースメーカ、IABP、PCPS、血液浄化装置(血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血液吸着等に使用する装置)、呼吸療法装置(人工呼吸器、高気圧治療装置等)等の操作及び保守点検を医師の指示のもとに行う以外に、圧心電図モニタ実施時の技術提供等を含みます。

医療機器の管理とは、医療機器の日常点検(始業、使用中及び終業)は機器を実際に使用する医師または看護師により行われるが、臨床工学技士は臨床技術提供で使用される機器の日常点検やすべての医療機器の定期点検や故障時の対応を担当して、医療機器の安全と信頼性を維持しています。

ME教育とは、各種医療機器の効率的かつ安全な使用に関する教育です。これらの機器は、使用者である医師や看護師が適正に操作する必要がありますが、これを確実に行うには、臨床工学技士による各種医療機器の原理、構造、操作及びトラブル時の対応についての教育が必須で、これは臨床工学技士の資質の向上にも役立っています。

めざす資格

臨床工学技士(国家資格)
「臨床工学技士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師の指導のもとに、生命維持管理装置、すなわち人工透析装置、人工心肺装置、人工呼吸器など生命を維持するための装置を操作し、その保守点検と安全管理を行う重責を担う専門職です。以前は助けることのできなかった重い患者さんの生命を救っています。
医学的な知識と工学的な知識を兼ね備えた臨床工学技士は、生命にかかわる高度な医療機器を扱う“いのちのエンジニア”として、日々高度化する医療現場でのニーズが高まっているといえます。
第1種ME技術実力検定試験 ・第2種ME技術実力検定試験
第1・2種ME技術実力検定試験は日本生体医工学会が運営する試験です。
MEとは、「メディカルエンジニアリング(medical engineering)」の略で、直訳すると「医用工学」となります。
医療機器を扱う技術を測る検定が「ME技術実力検定試験」で、その医療機器に関する安全管理を中心とした適切な知識と、実際に医療に応用できる技術を測る資格試験です。これは、人工の呼吸器や透析装置、レーザー装置、電気メスなど生命に直結するさまざまな機器に関する知識と技術を証明するための資格で、合格者には証明書が交付され「ME技術者」として働くことが認められます。
第2種の受験資格は特にないため、誰でも受験できます。第1種の受験資格は、第2種の合格者または臨床工学技士免許保持者です。